昔の狭山丘陵の動物を考える
I.背景
狭山丘陵、及びその周辺の小字や小地名を眺めていると動物の名前が入るものがいくつか見つかる。これらは、全てが単にその周辺にその生物がしばしば出没したりしたわけではないだろう。例えば、その動物に形が似ている岩や池があったとか、その動物に対するもしくは関連する信仰による地名であるとか、あるいはただの当て字でその動物とは一切の関係がないとかである。しかし、地名要素として入っている動物名もある程度その土地に生息していた動物の推測などの参考になるのではないかと考えた。そして、本Blogを書くに至った。また、ここで考える動物は哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類に限らせてもらった。
II.狭山丘陵について
狭山丘陵は埼玉県所沢市、入間市、東京都東村山市、東大和市、武蔵村山市、西多摩郡瑞穂町に跨る丘陵で、古くは単に「狭山」と呼ばれていたであろうことが『武蔵野話』などから分かる。現在生息している生物は2019年6月~2020年7月の所沢市の調査によれば、指標動物のうち、アズマモグラ、アブラコウモリ、キュウシュウノウサギ、ホンドタヌキ、ホンドキツネ、ホンドイタチ、キジ、カルガモ、コガモ、アオサギ、ツミ、オオタカ、カワセミ、コゲラ、アオゲラ、モズ、オナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、ツバメ、ウグイス、エナガ、メジロ、オオヨシキリ、ツグミ、ジョウビタキ、キビタキ、ハクセキレイ、ホオジロ、ヒガシニホントカゲ、ニホンカナヘビ、アオダイショウ、シマヘビ、ヒバカリ、ヤマカガシ、トウキョウサンショウウオ、アズマヒキガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、シュレーゲルアオガエルが確認されている。この他にも、スズメ、カラス、シジュウカラなどを散歩をするとよく見かける。また、古くから人間はこの丘陵にあるヤトなどの豊かな自然環境を利用していたらしく、縄文時代、及びそれ以前の遺跡では、前久保峰遺跡、日向遺跡、比良遺跡、東向大谷遺跡、甚木峯遺跡、山王入遺跡、鹿島台遺跡、八幡谷戸遺跡、下宅部遺跡など多くの遺跡が見つかっている。
III.狭山丘陵、及びその周辺の地名のうち動物名の入るもの
では、早速狭山丘陵、及びその周辺の地名の内を動物名の含まれるものを探す。実際にそのような地名をリストアップすると以下のようになる(恐らく抜けている地名が余裕であるので、含まれていないものがあれば教えてください)。また、ここから先は随時更新する。
鳩峯 猿久保 貉入谷 鳶峯 狢入 鶴舞 猪ノ田 狐峯 馬場 おいぬ塚
鼠沢 狼久保池 狼久保大池 ねずみ沢池 とんび谷
猿久保 馬場
IV.結局、何の動物が生息していたのだろうか
無論、今となっては過去の狭山丘陵の動物たちを観察することもできないし、こうだと断言することはできないことには注意しほしい。
まず、「狭山丘陵について」で挙げたような在来種たちは昔からいたとしてもおかしくはないと思われる。次に、今は生息していない動物について考える。この動物について地名に見える動物はサル、イノシシ、ツル、ウマ、オオカミである。このうち、ツル(鶴舞から)、ウマ(馬場などから)については、恐らく鳥のツルではなく、河川のツルから来たとしたほうが妥当ではないかと思われる。また、ウマも野生のウマがいたのではなく、馬場があったのだろうと考えられる。では、イノシシ、サル、オオカミについてはどうだろうか。オオカミについては、昔話に「藤兵衛さんと狼」というものがあるので、これは実際にいたのかもしれない。また、イノシシやサルについてもいたとしてもさほどおかしくはなかろう。
V.参考文献
東大和市-遺跡一覧
生物多様性ところざわ戦略
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp